試験落ちた

運転免許。普通の人は高校卒業か大学1年の夏休みにでも取るのだろう。自分は周囲が車校へ行こうが車を買おうがそんなものは無視した。運転というものに希望を見い出せないから。車本体で何十万、さらに税金車検保険…車に乗るのは相当金がかかる。それどころかうっかり人でも轢き殺そうものなら前科者である。懲役刑で何年も服役。社会的信用は失墜。もはやまともに生きてはいけない。どうせ人殺しで捕まるなら気に入らない人間をぶち殺す方がはるかに気分がいいだろう。そういう訳で免許を取ろうとしなかった。とはいえ一応社会で必要そうなので大学卒業までに取ればいいかと思っていた。だが・・・

ある日、好きな女の子ができた。

「男が女を乗せれないでどうする」と一念勃起して車校に通うことにした。周囲が免許取れとうるさいのもあったが一番の理由がこれ。気持ち悪いですね

入校したものの思った通り

「はい補習ね」

わかってた。親が運転する横で自分には無理だと子供の頃から想像できた。

やることはわかってる。でも運転席にすわると頭が真っ白。おまけに過緊張で手も、頭も動かない。どの学校もそうだと思うが入校前に適正検査がある。適正はあるらしい。ただ1つ気になる点が。状況判断力:やや劣る これより下の評価がないのでこの項目が著しく劣っているのかもしれない。さっきの頭が真っ白になる件といい、何か関係ありそうだ。仮に免許が取れたとして、緊張で標識が一切目に入らず交通違反、あるいは事故を起こすかもしれない。

そんなことを考えてたらクソみたいな教官に遭遇した。やる気無くしたので予約した教習を消化して全く行かなくなった。もちろん学科もやる気なし。中間テストの勉強をする気なんか起こるはずもない。技能ができなきゃ意味ないもんね。

それから2か月が経過した。流石にヤバいと感じ、中間テストでも受けてみることにした。テスト1時間前に行くかってなった。やる気ないと言った割には暇な時間に勉強したしなんとかなるでしょ。練習問題も何回かやって全部合格。落ちてもバイト1時間やれば再試験料取り返せるし。とにかくやる気が無いので向かい風が吹いているとか腕時計してなったとか押しボタン信号がなかなか変わらないとかあって帰りそうになったが、教習所に辿り着いた。寒かったのでアルコール消毒したら手が荒れそうだなと一瞬帰るか考えたがとりあえず中へ。教習車が全部新車になってる。硬くて意図した位置に入らないギアのせいで何回も補習になったあのクソ車共が全部廃車になっている。原簿によると丸2か月行ってないらしい。自分の中では1回行ったことになってたが。

とりま試験。落ちた。さっき言ったが練習問題は全部合格。あと1問だったらしいがそんなこと知るか。キレつつ帰宅。

技能はダメ、自信のあった学科も落ち、益々やる気が削かれていく。結局自分に残ったのは補習代金と近くに迫った教習期限と思い通りにいかない自分自身への怒りと自己嫌悪。親に教習料金を出してもらってしまったので、簡単には辞められない。納得してもらうために試験に落ちまくるしかない。

また落ちたら書きます。

【問題】

自転車で走行中、前方をカラスが横切ったのでベルを鳴らして「死ね。ぶち殺すぞてめぇ」と暴言を吐いた。

【解答・解説】

○　試験に落ちてやむを得ない場合、他人の迷惑にならない範囲で暴言を吐いてもよい。

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